北九州市小倉北区の認可外保育園「中井保育園」 (北村寿和代表)の園児=当時(2つ)=が7月、炎天下の送迎車内に置き去りにされ死亡した事故で、同市は24日、北村代表が市に提出した改善報告書に、 他の認可保育園の安全マニュアルを丸写ししたとみられる記述があり、事故の検証もないずさんな内容だったことを明らかにした。北村代表は同日、園の廃止届 を市に提出、受理された。園は同日付で閉園した。

 市保育課によると、児童福祉法に基づき提出が定められた改善報告書は「園外保育安全マニュアル」と「安全管理マニュアル」の計54ページ。しかし、散歩 先に「都立公園」とあったり、弁当なのに給食設備に関する記述があったりしたため同課が調査。東京都世田谷区と札幌市の保育園がホームページ上で公開して いる安全マニュアルの内容と「9割くらい」(榎田寛課長)が一致した。

 北村代表は「参考にしただけ」と引用は一部のみとしたが、北橋健治市長は同日、「極めて残念だ。あんな内容では市民が納得しない」と強い不快感を示した。

 北村代表は2004年8月中井保育園を開設。しかし開園半年以降は、別に経営する人材派遣会社に運営を任せていた。事故後も「スタッフがちゃんとやっているものと思っていた」「事故を起こされ迷惑」などと発言。

 廃止届を提出したこの日も「(市に改善報告書の修正項目を文書で示してほしいと要請したのに)市の対応が遅い。もう閉園する」と市側に責任を転嫁。真摯(しんし)な反省の言葉は聞かれなかった。

=2007/10/25付 西日本新聞朝刊=