常用漢字191字増、最終素案を承認 文化審分科会小委
2010年4月23日12時58分
文化審議会国語分科会の漢字小委員会は23日、「改定常用漢字表」に関する答申の素案を承認した。6月の文化審議会総会で最終決定して文部科学相へ答申し、年末までに内閣が29年ぶりに新しい漢字表を告示する予定だ。
改定常用漢字表は、1945字からなる現在の常用漢字表に「挨(あい)」「拶(さつ)」など196字を加え、「勺(しゃく)」「匁(もんめ)」など5字を外すため、常用漢字は191字増えて2136字になる。
文化審議会国語分科会の漢字小委員会が13日開かれ、「改定常用漢字表」は、字種について試案通り2136字で固まった。6月の文化審議会で正式に決まり、文部科学相に答申される。改定常用漢字表は、1945字からなる現在の常用漢字表に「挨(あい)」など196字を加え、「勺(しゃく)」など5字を外し、2136字になる。
小委員会では、「障害者」ではなく「障碍(しょうがい)者」と書けるよう、常用漢字入りを望む声が強い「碍」の扱いが集中的に議論されたが、追加は見送 られた。ただし、障害という表記の見直しに取り組む政府の「障がい者制度改革推進本部」が今後、障碍という表記が望ましいと決めた場合は、再検討すること にしている。
試案に対して一般から寄せられた意見の中で碍と同様に、追加希望が多かった「玻(は)」(95件)と「鷹(たか)」(24件)も追加は見送られた。(白石明彦)
常用漢字【じょうようかんじ】
常用漢字とは、1981年に内閣告示で公布された「常用漢字表」にある1945種の漢字のこと(音読みは2187、訓読みは1900)。「法令、公用文書、新聞、雑誌、放送など、一般の社会生活において、現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安を示すもの」(内閣告示)である。対する「新常用漢字表(仮称)」は、従来の常用漢字表から字種が5字減・191字増の2131字(音読み2352、訓読み2033)。情報機器の普及した現代に対応することを目的に、28年ぶりの改訂が検討されてきたが、2009年1月16日に文化審議会国語分科会漢字小委員会から公表、同月29日に文化審議会総会で承認された。同年3月に文化庁のホームページなどで公開し一般の意見を募った後、10年2月に文化審議会が文部科学相に答申、同年秋に内閣による名称決定を経て、新漢字表として告示される。
新常用漢字表で追加される191の漢字は次の通り。
地名関係では、茨 媛 岡 葛(人) 鎌 韓 畿 錦 埼 栃 那 奈 阪 阜。動植物関係では、亀 熊 虎 鹿 鶴 椎 藤 梨 蜂。身体に関する、顎 咽 蓋 拳 股 喉 尻 腎 脊 腺 唾 爪 瞳 眉 膝 肘 頬 脇。音訓には、「私」の訓「わたくし」に「わたし」、 「中(じゅう)」、「混(こ)む」、「創(つく)る」、「全(すべ)て」などが追加される。他に、挨 曖 宛 嵐 畏 萎 椅 彙 淫 唄 鬱 怨 艶 旺 臆 俺 苛 牙 瓦 潰 諧 崖 骸 玩 伎 臼 嗅 巾 僅 惧 串 窟 詣 憬 稽 隙 桁 鍵 舷 梗 乞 傲 駒 頃 痕 沙 挫 采 塞 柵 刹 拶 斬 恣 摯 餌 叱 嫉 腫 呪 袖 羞 蹴 哨 憧 拭 芯 須 裾 凄 醒 戚 羨 煎 詮 箋 膳 狙 遡(2点しんにょう) 爽 曽 痩 踪 捉 遜(2点しんにょう) 汰 堆 戴 誰 旦 綻 憚 緻 酎 貼 嘲 諜 捗 諦 溺 填 妬 賭 頓 貪 丼 謎(2点しんにょう) 鍋 匂 虹 捻 罵 剥 箸 氾 汎 斑 訃 聘 蔽 餅 璧 蔑 貌 勃 昧 枕 蜜 冥 麺 冶 弥 闇 喩 湧 妖 瘍 沃 拉 辣 藍 璃 慄 侶 瞭 瑠 呂 弄 籠 麓(以上191漢字)。
常用漢字表の前身は、1946年に公布された「当用漢字表」(1850字、音2006、訓1116)。「法令・公用文書・新聞・雑誌およぴ一般社会で、使用する漢字の範囲を示したもの(内閣告示)」とあるように、漢字使用を制限することを目的とした。しかし、当用漢字表にない漢字を使った熟語が「まぜ書き」になるなど不自然・不便が生じたため、制限を緩和し強制力を外したのが常用漢字表である。今回の改訂は、常用漢字表をさらに緩和したものとなった。
( 秋津あらたライター)
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